ご近所では、毎回朝礼時に「本の紹介」というコーナーがあります。
一人だいたい3分〜5分程度、
読んだ本に対して、どう思ったか、どう考えたか、読んで得たことを今後どう活かしていきたいかなど、
自分の考えや、得た情報をわかりやすく伝える練習の場として、
毎朝そんな時間があるのです。
本の紹介ということで、
最近本を読む機会がめきめきと増えてきたわけですが、
わたしは本読めない人間で、
ただ、本屋さんはすごく好きで、すこし都会にいたころは大きな本屋さんを一日で3件くらいはしごしてました。
本読まないやつが、なぜにそんな本屋のはしごなんかしていたかというと、
本の装丁をみるのがすごく楽しかったからです。
昔、テレビでブックデザイナーの祖父江慎さんのドキュメンタリー番組を見たときから、
本の装丁というものに魅了されております。
本を選ぶ時、もちろん内容もある程度わかったうえで購入しますが、
装丁も大事なポイントです。
いろいろと遡れば、今の仕事に就くきっかけにもなった『装丁』というものについて、
これから書いていこうと思います。
今回は、こちら。
矢荻多聞さんの「偶然の装丁家」
タイトルが、もう正にという感じですが、
こちらの本は、ブックデザイナー矢荻多聞さんがブックデザイナーになるまでの経緯や様々なお話がおもしろおかしく綴られています。
こちらの装丁、最近の本にもよくある帯の部分がすごーく長いタイプになっています。
むしろ、ここまでくると帯ではないですね。
タイトルとかがここにしか書いてないし、
帯をめくると本自体の表紙があらわれてカバーがないため、帯のようでカバーの役割を果たしています。
タイトルのフォントも、すこし変わった変形型をつかっていて、
矢荻多聞さんの面白さをここでも表現してるように感じます。
そして、本を観察するとき、私が個人的にとても大事にしてるもの、それは「紙の質感」です。
こちらの装丁は、少しつるっとしたはりのある紙を使ってます。
このクラスのつるっと感は、ついついなでなでしちゃうタイプのやつですね。
あといいなと思うのは、そでの部分が長いこと。
「そで」とは、この表紙カバーの折り返し部分のことです。
ここには、たいがい筆者の紹介や、物語のプロローグ的な物が書かれていて、
けっこうぎゅうぎゅうに情報が載っているものも多いですが、
こちらはいいぐらいの余白感がありますね。
それがまたこの本のすこしゆるっとした型にはまってないような世界感をうまく表しているのではないかなという気がします。
こちらの装丁、表紙のイラストを、画家・絵本作家のミロコマチコさんが書いているため、
わりとそのイラスト全体をうまく載せるのと、世界感を出す為にも、工夫されているのではないかと考えられます。
とまぁ、こんなかたちで、
本の装丁についてこれから色々観察していきたいと思います。
デザイナーということもあるので、そこの目線も大事にしながら、
個人的で超マニアックな、誰が聞いてもあまり共感できないようなレベルまでいったとしても、
この装丁観察記を続けていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。