景観は経年変化を計算して作られる

ウェブデザイナーの伊藤です。
先日、島根県の足立美術館に行ってきたお話しを書きましたが、
その中にある「寿立庵」というお茶室のお話し。

足立美術館に入ると、明治や大正時代の箪笥、文箱、文机、などお道具類が展示してありました。
漆に金蒔絵の豪華なものばかり。
明治時代には盛んにヨーロッパに輸出されていたというそれらのものは、
なるほど、デザイン的にオリエンタルな雰囲気をまとっていました。
明治、大正の職人たちの技術に圧倒されながら、奥へ進むと
建物と建物を繋ぐ廊下にでました。

その廊下から低い竹垣で仕切られた美しいお庭が見えます。
フラフラと吸い寄せされると、それは茶室へのアプローチでした。

足立美術館内の茶室「寿立庵」へのアプローチ。

足立美術館内の茶室「寿立庵」へのアプローチ。

茶室に入る人しか中に入れないと記載してあり、
見学料と抹茶料で1人1500円。

ううむ。
4人家族で6000円はイタイ。
しかも、子供は小学生。
話しのわかるお年頃ではありません。

が、折角ここまできて見ずに帰るのももったいない。
ここは奮発。

入りました。

人の気も知らず、スイスイと入っていく娘。

人の気も知らず、スイスイと入っていく娘。

待合に通され写真はOKとのことで、撮っていると

いっちょまえに写真をとる娘

いっちょまえに写真をとる娘

娘も生意気にも写真を撮りたいと言い出す。
いや、君が前に立ちはだかるとお母さんは撮れないんだよ。(ためいき。)

この寿立庵は、京都桂離宮にある松琴亭を模して建てられたそうです。

桂離宮の青と白の格子柄を模したふすま

桂離宮の青と白の格子柄を模したふすま

取っ手は松葉型。こういう細かいところに気を配っているのがいい。

取っ手は松葉型。こういう細かいところに気を配っているのがいい。

円窓から垣間見える庭もまた美し。

円窓から垣間見える庭もまた美し。

茶室から庭へでることも出来ます。

茶室から庭へでることも出来ます。

この茶室の説明で驚いたのは壁の話。

ホタル壁

蛍壁

外壁の黒に茶色の斑点の入った壁は蛍壁と呼ばれ、土壁を塗る時に鉄分をいれ、それが経年変化で錆びてきて、蛍のような文様になるそうです。

確かに。蛍が乱舞する様に見える。

拡大図

拡大図

こういう職人さんの仕事をみると、しびれます。
何しろ、塗った時には錆は出ていないのですから。
それを計算して施す技は見事としか言いようがありません。

お庭にしても、こういう建築物にしても、経年変化を計算して作られるものなのでしょう。
こういう技術が次の世代にも伝わっていきますように。

追記
茶席で出された「日の出前」という和菓子。こちらは、小豆と砂糖しか使われておらず、寒天を使っていないので、羊羹とも違ったあじわい。
その食感に思わずお土産に選定。

写真は、後日撮影。 ねっちりとしたきめこまやかな肌に感動。

写真は、後日撮影。
しっとりとしたきめこまやかな肌に感動。

お茶席では子供もおとなしくなりました。

お茶席では子供もおとなしくなりました。

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