ご近所研修旅行レポート第5弾。
今回の研修旅行のきっかけともなったご近所の新事業「かけはし」。
この事業では、今の暮らしが今よりもっと豊かになるような提案を、
ご近所社員の目をもってご提供していければ、という事で動き出しています。
その事業を進めるにあたり、やはり目利きの力は重要。
【豊かな暮らしとはどういうものなのか。】
【それを他の地域ではどのように発信しているのか。】
それらを学ぶ、目利きと発信力を磨く旅にいってきました。
島根までの車旅。
島根へと向かう長い道中にこそ、今回の旅における重要な学びがありました。
注目したのがお土産品。
旅と言えばお土産。
「こんなとこいってきたよー」、「これおいしいんだよー」
など旅の話のネタにはかかせないアイテム。
また、地域の良さを伝える為に、地域の味だったり風土を感じてもらうには最適な手段ともなるお土産品。
丹波にもたくさんの特産品があり、たくさんのお土産の品があります。
そんなたくさんのお土産品が世の中にあふれている中で、選んでもらう為には“なにかしらの工夫”が必要。
道中よったサービスエリアでも数々のお土産品を見かけました。
その中でも少し気になったものをご紹介します。
「新幹線での旅のお供に…」
そこから連想されることも多いのではないでしょうか。
最近あまり見かけなくなったように思う『冷凍みかん』です。
『冷凍みかん』でイメージされるもの。
それは皮のむかれたつるんとしたみかんが3つくらい赤いネットに入って売られている。
しかし、こちら一見冷凍みかんとはすぐにはわからない。
しかも大きさも手のひらに収まるサイズで、色も鮮やかで、
なんだか思わず手にとってしまう。
この思わず手に取ってしまう行為こそ、“なにかしらの工夫”が働いているからです。
これが昔ながらのネットに入ったみかんだったら、
「なんか懐かしいなー」とは思うものの、思わず手に取る可能性は低い。
このパッケージ、このサイズ感だからこそついつい買ってしまう、
味は知ってても食べてみたくなってしまう、そういった消費者の気持ちをつかんでいるのです。
またこちらはネーミングもおもしろい。『むかん』です。
みかん』じゃないのです。『むかん』です。
むかなくていいみかんなのです。
思わず言いたくなります。
これは『みかん』ではなく『むかん』です。と。
そういった、なにか誰かに伝えたくなるシチュエーションも計算されたかのようなネーミングも秀逸です。
お土産って自分の為にも買いますが、誰かに渡すもの。
その渡す際になにかコミュニケーションが生まれるもの。
その時の自分の発見や気づきをプラスして相手に伝える事で、相手にはより印象強いものとなり、
また想いも伝わります。
そういう行動の中には、なにかしら誰かしらの「ひと手間」があるのです。
この「ひと手間」こそ、今回の旅で学んだ大事な要素の一つでした。
1日目に訪れた出西窯。
こちらには、器が販売されているお店のすぐ横に工房があって、誰でも中を見学する事が出来ます。
しかも、「こんなところまで入って良いんですか」というくらい隅々まで見学できるのです。
実際にあんな大きな窯元におじゃましたのは初めてでした。
様々な段階を経て完成して行く器達や工房独特の雰囲気…
ここからあの器達が生まれているのか…ととても感慨深くなります。
また、お店のすぐ横のお部屋にはお茶をいただけるスペースもありました。
もちろん、こちらの窯でつくられた器でいただけます。
ここにもこちらの「ひと手間」を感じる事が出来ました。
まず、工房を自由に見学させていただけること。
お店で完成した器を見ているだけでは感じなかった器の繊細さや手仕事の凄さを感じる事が出来ました。
また、実際に器を使う空間がある事によって、自分が使っているイメージがわいてきます。
そういう感覚を自然に促せる場づくりはとても魅力的で素敵な空間でした。
出西窯を後にして訪れた他郷阿部家。
こちらでは、さまざまな「ひと手間」がふんだんに感じられました。
外からの佇まいはもちろん、中に入ればその空間をより一層彩るかのような道具達がなんとも自然な状態で置かれていて、よくある宿泊施設に見受けられる「演出」というものは一切ない、自然な暮らしの空間がありました。
時間帯によって光の見え方が違う窓だったり、
修復の為に貼られているテープだったり、
今にも美味しい香りがしてくる台所だったり、
一晩では見足りない程、細部にわたりきちんと手がかけられていて、
寝るのが惜しいと感じる程とても心地よい空間でした。
他郷阿部家がある場所は、世界遺産にもなっている石見銀山という場所。
この空間にくれば誰が来てもここがどんなに素晴らしい場所か感じ取ることができます。
そんなことを感じさせるには、様々な努力があったに違いありません。
「ただすきなことをしていただけ」と、
他郷阿部家女主人の登美さんはおっしゃっていましたが、
モノに対する想いだったり、暮らしに対する考え方が、
目に見えたり、感じ取れたりするカタチで人に伝えられるという事は、とてもすごい事だと思いました。
2日目、群言堂さんのオフィスを案内していただきました。
その際にも玄関にこんな張り紙が。
こういうことが何より嬉しかったりします。
こういう「ひと手間」が旅を終えて数日経った今でも嬉しかった出来事として
きちんと記憶に残っているものです。
その後向かったのはシマネプロモーションさん。
『YUTTE』というプロジェクトについてうかがうことができました。
『YUTTE』とは島根の民芸品や島根の地域産品を贈り物として提供できる贈り物事業。
主に今は結婚式の引き出物等に多く利用されています。
こちらで感じる「ひと手間」というのは、
ひとつひとつセミオーダーでお客様の要望をきちんとうかがってからモノをえらんでいること。
すこしでも人の手がかかったというだけで、送られた側にも他とは違う特別感が伝わります。
そんなYUTTEの事業で大切にしている事は生産者さんとのコミュニケーションだと言います。
生産者さんが丹誠込めて作ったものを、自分達が橋渡し役となって伝えていく。
その為に生産者さんの想いや考えをきちんとうかがうことを大切にされています。
作り手の想いをきちんと伝えることで、ものだけじゃなく、想いも贈る事が出来る。
そういった事を大事にしながら取り組まれているとても素敵な会社でした。
今回の旅において、様々な場面で「ひと手間」を感じることが出来、
「ひと手間」がかかったモノ・コトが、いかに人の心を動かすのかということを体感する事が出来ました。
群言堂で感じた豊かなくらしや、
お土産品や出西窯、YUTTEに見受けられた魅力的な発信方法には、
共通して「ひと手間」がかけられていて、かつ、それはとても自然なカタチで伝わっています。
伝わり方がいやらしくなく自然なのは、
ただ純粋に自分の好きな事を追求していたり、作り手の想いを伝えたいという純粋な想いだったりという
非常にシンプルな事だからなのかもしれません。
そういう目線をベースとして発信していけば、
世の中にあふれている魅力あるものにもっと気づける気がします。
個人的にも非常に実りの多い旅となりました。
最後までお読み頂きありがとうございました。