い‐じゅう-じょ-し【移住女子】
[名詞]他の土地に移り住む、また移り住んだ女の子ども、もしくは女性。
移住と言いますか、丹波に引っ越してきて10年以上たつ私が、そもそも「移住者」なのかそして「移住女子」なのか、
という疑問と議論はひとかたならぬものがありますが、10年前、
それでも関西から関西へと引っ越してきたので、言うほど「丹波弁」を感じることはないのかしら?と思っていた私に、
降り注いだ丹波弁のシャワー。
今日はその中から移住し始めの方に、そしてこれから丹波に住もうかなって思っている方が知っていると嬉しい
(かもしれない)丹波弁をいくつか紹介したいと思います。
まずは、聞いて戸惑った丹波弁ランキング!
第3位 「いっかど」
これは私が2歳くらいの長男と村を散歩していた時に聞いた言葉です。
ちょうど好奇心がむくむく芽生えてきた当時の長男は、
何やらいたずらを始め、私がたしなめても「イヤイヤ」と止めようとしません。
それを見た村の人が、「まあ、いっかど!」。
字を見ると「まあいっか」に見えなくもないですが、明らかそういうニュアンスじゃなく、
なんなら「いっかど!」と4文字の言葉の中にも後半にわずかにかかるクレッシェンド。
でも怒っている様子もない。この「いっかど」の意味は……。
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いっ‐かど【一角?/一門?】
[形動][ナリ]一人前であるさま。未熟なものが出過ぎた行動をするさま。えらそう。
「親に口答えして、―なこというてからに」
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2.~~しないな、~~しないよ
私の育った奈良県で「しない」「しないよ」と言われたら、それは文字通り「しない」ってことで、
「そんなこと、しないの」といわれたら、「そんなことをしてはいけない」って意味でした。
でも丹波では明らかに、道路を横断しようとする小学生に向かって「車みない!」
えっ、見るの?見ないの??となりましたが、
素直に左右を確認したその小学生の態度から察するにその意味は……。
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ない
[助動]「しろ」「せよ」の意のやわらげた言い方。つまり「なさい」の意。でも「なさい」より柔らかい。多分。
「みんなで遊んでるから、あんたも来―」(この場合、読み方は「こない」じゃなく、「きない」)
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1.~~しとってや、しよる
「なあなあ、あそこで○○ちゃんが○○しとってや」
「起きとってか?」「もうしてか?」
いや、誰が?なにを?主語は?主語は~~~?ってなったのがこの「て」使い。
「なあなあ、あそこで○○ちゃんが○○してるよ」
「(家人は)起きてる?」「もうするか?」の意味ですが、
この「て」用法が入っているときは、主語が「私」「あなた」であることはほとんどなく、
そこにいない三人称単数(英語であったなこれ!)について語っていることが多いようです。
さらに、「しよってやで」と、「とって」ではなく「よって」の時もあるのですがその「よる」の意味は……。
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よる
[助動]動詞につき未来形もしくは現在進行形を表す。「しはじめる」「しそうになる」の意。
「もう○○さん行き―ってやで」(もう○○さんは出発しそうですよ)
「こけ―った」(こけるところだった、こけそうだった)
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こんなカルチャーショックを与えてくれた丹波弁。思い返すと初心に帰れる気がします(?)。
ですが、丹波弁はショックだけでなく感動も与えてくれたものでした。
私の好きな丹波弁コレクション!
その1「じゅるい」
「今日は道がじゅるいから、長靴のほうがええよ!」
聞いたことない言葉なのに、意味が浸透してくる。
分かる……わかるぞ……!
見知らぬ人ばかりの外国で日本人に合った時はきっとこんな気持ちになるのでしょう。
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じゅる-い
[形容](主に道が)ぬかるんで歩きにくいさま。
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2.だんない
わざとじゃないけど、人に迷惑をかけてしまったり、間違ったことをしてしまった時……、
私「すみません……」
丹波人「だんないだんない!」
ニュアンス的に伝わる、「怒ってないよ」という気持ち。
はっきりと意味が分からないのなりに包まれる、「許された」感覚。
なんとなく、「いいよ」より、器が大きく感じるのは私だけでしょうか。
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だん-ない
[連語]かまわない、大したことはないの意。
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3.さんこ
取材などで仕事場や蔵に入らせていただくと、
「さんこやけどな……」と言われることがあります。
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さんこ[ナリ]
[形動]ちらかっている様子。
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でも私がそれよりも好きなのは、「さんこ」の進化系、
「さんぱらぱん」。です。
「散らかってるなー!」より、何となく楽しそうな気がするので、子育てに応用したいです。
4.ぴりぴり
用例は、「雨がぴりぴり降ってきた」が基本系のこの「ぴりぴり」。
応用は、
「雨結構降ってる?」
「ううん、ぴりぴりって感じやわ」
つまり雨の「ふりぐあい」を表す言葉なのですが、
「しとしと」でもなく、「ぱらぱら」とも違うのです。
「しとしと」は「ぴりぴり」に比べて量が多すぎるし、
「ぱらぱら」は「ぴりぴり」よりもきっと、雨粒が大きめ。
だからと言って霧雨でもなく、冷たく、少し鋭く、それでいて重みのない降り方。
その「これぞぴりぴり」の降り方の為だけに生まれた言葉だというところが、とても奥深いなと思うのです。
たとえ他の地域で通じないにしても、子どもが「お母さん、雨がぴりぴり降ってきた―」と言い出したら、
「ああこの『ぴりぴり』の微妙な感覚が分かるように育ったんだなぁ」と、幸せな気持ちになる母なのです。
「で、ぴりぴりってどんな降り方ねん」と思ったあなた、是非最寄りの丹波人と一緒に過ごし、
「これがぴりぴりやで」の洗礼を受けてください。(どれだけかかるかは分からないけど)
他にもね、「なしたこっちゃいやー(なんてこった!の意)」は和むから、
大変な時にわざと使っていきたいと思っていたり、
「おかしん(年配の人が使う、お菓子の意)」は
「なかしん(丹波市民の御用達中兵庫信用金庫)」の仲間かと思ったり、
「おっこい(大きい)」「へべちゃい(平べったい)」も物の感覚を言い表している感じが素敵だと思ったり。
もっともっと書きたいのですが、これ以上書くのも「たいてやない」(大変だの意)ので、このあたりで~。