ご近所では毎朝の朝礼で、スタッフもちまわりで「本」を通じたプレゼンを行っています。
自分の読んだ本から、感銘を受けたこと、ひっかかったメッセージやキーワードを抽出して、
考えや想いを伝える1分程度のプレゼンにまとめます。
読書感想や本の紹介の場ではなく、世の中にものを発信していくクリエイターとして、
私たちはどうあるべきなのかという視点で自分の考えや提案を述べる、というのがルール。
机を並べてはたらく仲間同士でも知らなかった熱い想いを知る機会になったり、
ハッとさせられる厳しい指摘もあり、朝から新鮮な時間です。
この朝の習慣がはじまって4カ月。読んだ本の数も増え続けて知識やボキャブラリーも豊富になりつつあります。
また、ビジョン・ミッションの共有を積み重ねているようなものなので非常に有益です。
さて、わたしが昨日のプレゼンで提案した本はこれ。
クリエーターとして仕事に対する成果の設定をどこに据えるか?ハッと気づかされた本です。
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『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』
本田哲也(ブルーカレント・ジャパン代表)/田端信太郎(LINE株式会社上級執行役員)
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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ご近所は「デザイン会社」と名乗っていますが、制作会社ではありません。
それはチラシやWebサイトを作ることが目的じゃない、その先を考えてものをつくる会社だからです。
私が携わるPR(パブリックリレーション)の仕事は、報道関係者向けのプレス資料を作って
情報発信、つまりマスコミに発信することが業務です。マスコミとの良好な関係を築くことが役割とはいえ、
クライアントさんが期待するのは、その先の「何件のメディアに掲載されるか」 です。
さらに、その掲載によって何人のお客様が動いたかで、クライアントさんの満足度が上がります。
掲載を決めるのに胃が痛くなることもしょっちゅうですし、掲載記事を見てお店に人が●●人来たという
報告聞いて一喜一憂しています。
そして、メディアアプローチや来店レスポンスのフィードバックをもとに、次の戦略を立てます。
この一連のPDCAを繰り返すPRの仕事を10年近くやっているのですが、本を読んで再確認したのが、
「何人のお客様を動かしたいのか」 というゴールから戦略を立てることです。
HPの制作依頼にしろ、パンフレットやチラシのデザイン依頼にしろ、仕事を受けるとき
「これを作る目的はなんですか」、「ターゲットは誰ですか」、「どこで使うのですか」というヒアリングに始まり
ペルソナ設定をして、ターゲットが求める情報がピンポイントに届くようにデザインします。
しかし、ご近所というデザイン会社がやるべき「デザイン」は、
その商品の、そのイベントのキャパを把握して、最大限に動員できる人数を動かす仕掛けをデザインすることです。
人を動かすには何かしらのモチベーションが必要で、それが沸点に達したとき、人は動きます。
そして動かしたい人数によって訴えるべきポイントも違います。
この本は、1,000人から10億人まで、規模ごとの「人が動くモチベーション」を簡単に分析し紹介しているものです。
たとえば、
1,000人を動かすには、ピュアな情熱を訴えるだけでも叶う。
100万人を動かそうと思ったら世間体に訴えかける。
1億人を動かそうと思ったら新しい習慣を生み出す必要がある。
というように。
つい、目に見える制作物の完成をゴールにしがちですが、制作物はあくまでツール。
そして、「人を動かすこと」「ムーブメントを巻き起こすこと」に、もっと必死にもっと貪欲になることが
戦略的なものづくりをやっていくご近所スタッフのあるべき姿だ、ということにも気づかされた一冊でした。
最後に。
ご近所の朝礼は、スタッフだけじゃなく、ご近所を利用するテレワーカーさんたちも参加したりしています。
本はその人の興味関心の方向がわかるアイテムです。
そしてこのプレゼンは、なんであれ、その業界・その分野で活動する人の想いや考えを共有できる場です。
その人を知るのに、とっても有効な方法ではないかと思っています。
朝のプレゼンに登壇くださる方、ウェルカムです!!