空き家問題解決の切り札は、空き家お見合い相談所?

 

最近、仕事のひとつで、空き家の課題や活用について調べまくっておりました。

資料を読んだり、空き家のマッチングの現場に同行させてもらったり。そこで感じたのが、活用の視点が借り手ばかりに偏っているということ。「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されて、自分事として悩みや不安を感じているは所有者。なのに、そこに全然光が当たっていないなぁと感じます。支援はあるのだけど知られていないことも含めて。

日本の住宅の10戸に1戸以上が空き家。事例として取り上げられるようなキラキラしたリノベーションがそうそう沢山生まれるとも思えない。増え続ける空き家問題を少しでも解消するには、所有者のサポートこそ必要。

そもそも空き家の成り立ちって、親が亡くなったことで家を受け継いだものの、そこに自分が住むわけには行かない。とはいえ、思い出のある家を売りに出すのも忍びないし、そもそも仏壇もあるしお盆や法事には帰省するから空き家じゃないよという状態から始まって、そうこうするうちに帰省するのも難しくなって。だからと言って売りに出すのもなぁ……と考えているうちに時が過ぎて、いざ売ろうと思ったときには、市場価値がすっかり下がってしまっている。という流れだと思います。

 

もっと早く動いてたら、良い状態で提案できて、良い人(買い手・借り手)と出会いたのかもしれいのに~って、婚活の現場だったら、鼻息荒く怒られてそうな状態です。

婚活していない女子に似ているような気がするのです。

「1人暮らしって自由だし、仕事も楽しいし、取り合えず生活もできてるから。今のところ問題ない。まぁいいよね」と、人生プランも考えず、市場価値の推移も客観視せずに、ほったらかしにしてたばっかりに、いつの間にか買い手がつかないほどに価値大暴落~な(自分の)人生と同じ。

家には家の生涯がある。昔のように代々受け継いでいくのが当たり前でなくなったのだから、家もお嫁に行く(お婿を取る?)ことを考えなきゃならない。

人と同じで、キレイでいるためのメンテナンスも不可欠だし、おせっかいに情報をくれたり、叱咤してくれる「お見合いおばさん」の存在も重要。あんたいい加減、動かなマズいんちゃう?とか、そんな恰好で相手が惹かれと思ってんの?とか、そんな写真写りじゃ第一印象悪いやろ!とか。それで言うと、空き家バンクの写真写りってびっくりするほどイケてないのが多い。お見合い写真だったらこんなの絶対NGなのに。大改造ビフォアーアフターを目指すんじゃないかぎり、人でも家でも売り込むのなら相手にステキ☆と感じさせるイメージ作りは大事ですよね。書類選考で落ちてしまわないためにも。

実際に空き家のマッチングの現場に同行させてもらったとき、仲介役の方は、家の魅力を様々な視点から語っていました。所有者じゃないからこそ公平に客観的に話せることも魅力ですが、建築面のことから、こんな風に活用したらいいんじゃないのかしら的なことまで、良い意味でおせっかいを焼いてくれていました。でもそれによって、相手はイメージを膨らませて『いいなぁ』と思うわけで。

時には、売り物件であったものを、『まずは賃貸で住んでみて、いいなと思ったら購入します』というケースもあるようです。これは所有者さんが借り手さんの人柄をいいなと思ってくれて、「だったらまずは賃貸で」と応じてくれたからでしょうが、『じゃ、一度付き合ってみなさいよ、まあ、結婚前提でね』という、お見合いおばさんの声が聞こえてきそうです。

 

さて、丹波市ではつい先日、平成28年度の空き家対策計画(案)が打ち出されました(※パブリックコメント中)。それは家の生涯と所有者さんに寄りそったもので、自分の家族に受け継ぐ場合の支援、誰かに受け継ぐ事を考えて良好な物件として保つための支援、バンクへの登録、物件の見学・仲介、さらに受け継いだあとの活用支援まで。そして、受け継き損ねて解体が必要な場合の支援もあります。それを一気通貫で一部署が担当します。まさにお見合いおばさん的部署ですね。

大改造ビフォアーアフターみたいな、リノベーションみたいな、キラキラした事例ではないけれど、画期的な取り組みだと思います。実際のところ、空き家バンクで成功している事例って、バンク担当者の熱意の部分も大きいようですから。この取り組みが実施され、所有者を支援する事例として注目される日がきっと来るはずです。

 

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