忙しくて、ここ数年は季節を感じる余裕もなかった。
慌ただしく服装だけ、暑さや寒さに対応し、そんな中でふと気づけば春が過ぎ、夏が終わり、また次の秋になっていた。
毎日が仕事の予定をこなしていくことに必死で、季節の移ろいではなく、カレンダーの数字で、もう秋かと気づく。
そういえばいつの間にか、だいぶ涼しくなっていた。
怒涛の上半期を終え、下半期のスタートも落ち着いたある日、帰り道に何気なくInstagramを開いた。
たまたま目に止まったのは、以前の同僚の投稿。コスモス畑を見て、そういえば、つい最近見た彼岸花やひまわりの写真も彼女の投稿だった。
——「コスモスの季節。家の近くで金木犀の香りも広がってる。」
そんな一文を読んだ瞬間、電車の中なのに、ふっと胸の奥が温かくなった。
なんだか自分も季節感じたいな。
彼女の写真をスクロールしていると、
乾いた心に潤いが染み渡るような気がした。私、こんなに呼吸が浅かったな。
道路に落ちた栗のいが。金色に輝く一面の稲穂。おじいちゃんたちが稲刈りする様子。
画面の向こうの景色に見入ってしまう。
今度の休みの日には、彼女に会いに、丹波に遊びに行ってみよう。
最近はいつも気を失うように倒れ込んで寝ていたが、その夜は久しぶりに安らかな気分でぐっすりと眠りについた。