ご近所研修旅行レポート第2弾。
この旅行で、私(ご近所ではウェブデザイナー、家では陶磁器絵付け職人)にとって強烈な刺激をくれたのは
到着した瞬間から、玄関にも、お庭にもしつらいにも統一された美意識を感じていっぺんに衝撃を受けました。
お庭をキレイに刈り込んでいるのではなく、自然に生えているかのように見えてあちらこちらに野の花がそっと咲いている。
これは、美しいようにバランスを取りながら人の手が入っている証。
(田舎に住んでいるとよくわかるのですが、雑草って恐ろしい速さで伸びるのです。)
室内に入ると、どこを見てもしつらいが行き届いていて感銘をうけました。
まさに、陰影礼賛の世界。
この背景にある心を伺うためにこの後、宿の主、松場登美さんのお話しを聞きながらお食事をいただきました。
登美さんは、 昭和40年代以降無住の状態が続いていて全体に傷みがはげしかったこの阿部家を買い取ってリフォームを重ねてこられました。
日本の良いもの、この土地のいいものを残したいという一心で、
捨てられていく道具、壊されていく家屋から建具などを譲り受けたりして、集め、それに命を吹き込むようにして生かされています。
(廃校になった小学校を買い取って保管場所にしているのだとか!)
ともすれば、もう古くなったからといって捨てられていく道具、日本の古きよきものたち。
それを残そうとしておられます。
私が一番心にこたえたのは、ここで本当に根差して、実際にこの阿部家で暮らして語る登美さんの圧倒的な説得力です。
「むずかしいことなんて考えなくていいのよ。ただ、美しいものを残しているだけ。毎日暮らしていると、家が傷んだ時にもアレっと気づくでしょ。」
そういった言葉の裏に、この家を愛して日々の手入れをするところを想像し、
どこまでも貫かれた美意識がお腹にずしっときました。
物事を語る時、その土台はとても大切なもの。
土台があるから、その上に見えるものは説得力を増すのです。
自分の身に立ち返り、明日から実践していこうと固く決心。
「人が入ってきたときにまずはじめに教えるのは掃除から。」
登美さんのおっしゃられていた言葉をうけて、
群言堂さん(登美さんと、ご主人の大吉さんが経営している)の「箒」を買って帰りました。
さぁ~。やるぞ~。